動画で勉強するのがあたりまえの時代になりました。
どこでも学習できたり、くりかえし観られたり、というのは動画ならではの便利さですね。
「再生速度」もその1つで、2倍速で観れば、講義時間を通常の半分で終わらせることができます。
忙しい現代人には便利な機能。
いっぽうで、気になるのは
「倍速再生した講義を観てもきちんと頭に入るのか?」
ってこと。
僕は映画やらアニメやらを観るときに倍速再生を使ってて、
「音楽以外はほとんど変わらず頭に入るなー。むしろ慣れてくると通常速度だとおそい」
くらいの感覚で観ていたりしていたんですが。
あくまでこれは「全部は頭に入らなくていいや」という前提で観てる部分もあって。
きちんと頭に入れなければいけない勉強でも大丈夫なのか?というのは疑問でした。
そこで今回は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校などから出た研究をご紹介。(*1)
「講義動画の再生速度によって頭の入り方は違うの?」といったことをまとめてくれててておもしろいです。
動画の再生速度で内容の理解度が変わるか調べた実験
研究の方法
研究の方法は、
- 被験者となる大学生231人を集め、不動産鑑定orローマ帝国の歴史についての講義動画を見てもらう
- 被験者をランダムに割り当て、講義動画を1倍速(通常速度)、1.5倍速、2倍速、2.5倍速のいずれかで観てもらう
- 動画を見終わったら、1週間後に内容に関する確認テストを行う。(視聴直後に自分の点数を予測しておいてもらう)
- それぞれの再生速度での理解度を比較する
というもの。
結果
結果はというと、
- ビデオ内容の確認テストの成績は、1倍、1.5倍、2倍で優位な差はなかった
- 2.5倍のみ、1倍速よりも成績が下がった
そうな。
この研究ではさらに、
「2倍速で見て余った時間、もう1回2倍速で見たらより学習が進むんじゃね?」
という部分も実験してくれていて、
- 2倍速を連続で2回観た場合は、1倍速を1回観た場合とテストの結果は変わらなかった
- 2倍速で1回見たあと、テスト前にもう1回2倍速で観た場合は、1倍速で1回観るだけよりも成績が良かった
(つまり、同じ学習時間でも理解度が高くなる)
という結果が出たとのこと。
どうやら、連続で観るよりも間隔を空けて観たほうが、分散学習の恩恵を受けられて学習効果が高まるっぽい。
さらにさらに、この研究では
- 通常速度で1回観たあと、テスト前に2倍速でもう1回観た
- 2倍速で1回観たあと、テスト前に通常速度でもう1回観た
場合でテストの成績に差が出るかも調べてくれていました。
学生たちの大半は「通常速度で観てから2倍速で観るほうが頭に入ってそう」と感じていたそうなんですが、実際にはどちらでも理解度に差はなかったとのこと。おもしろい。
今回のまとめ
改めてまとめると、
- 動画の理解度は2倍速くらいまでなら通常速度と同じように理解できる
- 同じ学習時間なら、通常速度1回よりも2倍速で2回、間隔を空けて見た方が効率よく頭に入る
- ただし、複雑なテーマになる場合や講師の話すスピードによっては理解できる再生速度に影響が出るかも
とのことでした。
個人的な感想
なんとなく「時短になりそう」「くりかえし観た方が身につきそう」と直感に任せて行ってきたことでしたが、こうやって論文として結果がはっきりすると心置きなく実践できますね。ありがたい。
論文の結果を踏まえて、とりあえず僕個人は、
- 覚える系のジャンルは、多少速いと感じても2倍速で再生し、間隔を空けながらくりかえし観る
- 数学やプログラミングのような複雑な仕組みを理解する必要があるジャンルの時は速度を落として観る
という風にしてみようかな、と。