「ぶっ続けで仕事をし続けるよりも、適度に休憩を取った方がパフォーマンスは高くなる」
というのは、皆さんなんとなく感じていることかと思います。
じゃあ、
- 具体的にどの程度効果があるのか?
- どんな仕事内容でも効果があるのか?
- どのくらいの時間休憩するのがいいのか?
と言われると、うーんわからんと思ってしまうところです。
今回紹介する研究(1*)では、上記のような疑問についてくわしく調べてくれてて、かなり参考になります。
マイクロブレイクの幸福感とパフォーマンスを高める効果を調べた研究
概要
この研究は、過去30年間に行われたマイクロブレイクに関する実験22件を取り上げたメタ分析。
マイクロブレイクを使うことで得られる幸福感とパフォーマンスの向上の効果について調べてくれています。
”マイクロブレイク”ってのは人間工学の分野から広まった言葉で、ものすごくざっくりいうと
「身体の疲労感が生じたり悪化しちゃうを防ぐために、あらかじめ予定して取る休憩」
といったもの。
この研究では、10分未満の休憩を取り上げてました。
論文では、
「マイクロブレイクが、誰にとって、どんな状況で使われることでいちばん効果を発揮できるの?」
ってことをええ感じにまとめられてます。
結果
分析の結果をざっくりまとめると、
- マイクロブレイクは、活力を高め疲労感を抑えるのに効果があった
- パフォーマンスを高める効果の大きさは、創造的なタスク<事務的なタスク (認知的なタスクには優位な効果なし)
- 休憩時間が長いほどパフォーマンスを高める効果は大きい
となっていました。
研究者たちは、
マイクロブレイクは、仕事中に幸福感を得るための万能薬である可能性を示唆している
と、前向きなコメント。
事務的なタスクというのは、いわゆるルーチンワーク。
つまり、高いレベルで自動化されていて変化が少なく、すばやくこなすことができるタスクのことを指します。
長時間作業をしていると、仕事以外のことを考えてしまったり、認知能力が低下してきたりして、ミスの確率が上がってしまうわけですが、マイクロブレイクはそれを防止。注意をタスクに集中させてくれることで、パフォーマンスを高めてくれるそう。
創造的なタスクっていうのは、思考を発散させて新しいアイデアを思いつかなければならないようなタスクのこと。
このタスクは、創造的認知(タスクに必要な情報を戦略的に記憶したり、よけいな思考を抑えこんだりする力)と発散的思考(いろんな方向に思考を巡らせることで新しい考えを生み出す力)が必要で、パフォーマンスを発揮するためには、思考の柔軟性が大切なんだそう。
マイクロブレイクは、作業→休憩という、一種の”タスクの切り替え”として機能することで意識が他のことに向き、脳の柔軟性を高めてくれるだそうです。
マイクロブレイクを使うときの注意
一方で、
- 認知的に負荷の高いタスク(ものすごく高い集中力が求められるタスク)はマイクロブレイクの効果を得られなかった
とのこと。
高い集中力が必要となるタスクを行う場合には、10分未満の休憩ではなくしっかり長い休憩を取る必要があるみたい。
それと、この研究では、「休憩時間に何したらいいのか?」ということはあきらかにされていない点には注意が必要です。
個人的には、仕事に関連する項目よりも全く関係ないことをするか、完全にぼーっとしてしまうのが無難じゃないかと思います。